カワウソのコウちゃんは、もへこのお店でシャワーを浴び、身体の汚れを洗い流しました。
コウちゃんがシャワーを浴びている間に、もへこはカモミールティーを淹れました。
ウルフさんは、シャワールームが小さかったので、一旦自分の小屋に帰ってお風呂に入りに行きました。
「ハブ茶だけは残しておけよ!」と、念を押して・・・。
ウルフさんは、もへこの淹れるカモミールのハーブティーが大好きなのです。
シャワーから出ると、コウちゃんはカモミールティーを飲みながら、もへこに聞きました。
「もへこちゃんは、どうしてウルフさんが怖くないの?」
「ん? そりゃぁ、最初は怖かったわよ。 私はウルフさんに食べられそうになってるしね」
「そうなの!? 噂では、ウルフさんが家庭菜園を始めたのは、もへこちゃんのおかげだって聞いたよ?」
「ん~~、確かに家庭菜園が楽しいっていうのを伝えたのは私だけれど、ウルフさんはもともと果物を育てたりしていたそうよ。リンゴが好きだっていうのを聴いたことがあるわ」
「あ、それは僕も聴いたことあるよ。
昔は『ウルフ市場』っていうのを経営していて、すごく裕福で、森の人気者だったとか・・・
でもその後、いつの間にか姿を消したと思ったら、また凶暴になってしまったって、聞いたけど・・」
「そうね。私もちょっとだけ知ってるわ。
森の人気者になったウルフさんが、なんでまた凶暴になっちゃったのか・・・それは、ウルフさん語らないけれどね・・」
「ウルフさんって・・・・なんだか、奥が深いね」
「でも、今は今だもん。
私は、今のウルフさんが好きだから、それでいいわ」
「うん。僕もそう思う。
さっきのウルフさんの言葉、すごく温かみがあったもんね。
昔は凶暴だったとしても、今がよければいいよね!」
そこへウルフさんがタオルを首にかけた風呂上りスタイルでやってきました。
「お~う、もへこ! ハブ茶くれよ、ハブ茶♪」
「はいはい。ちゃんととってありますよ。カモミールティー!」
「やっぱ、風呂上りはこれだよな!」
ウルフさんは腰に手をあてて、カモミールティーを一気に飲み干し、幸せそうににんまりとしました。