「おい、君たち! さっきから何をブツブツ言ってるんだ?
ボクのことはもういいから、さっさとあっちにいけよ!」
「いやぁよ・・昔はきれいだったなぁって、話してたんだよ。
オメェが一番よく知ってるだろ? この辺の桜・・・キレイだったなぁ」
「・・・・ふん! そんなんで話をそらしたって、ボクは騙されないよ!
ボクは、この景色が大好きなんだ! ずっとずっと、ここでこの川を守っていくんだ!」
「ウルフさん・・・・なんだか、涙が出てきました・・・。
コウちゃん・・あんなにがんばってるのに、私たちはコウちゃんが頑固ものって決め付けていて・・・」
「いやぁ・・あいつはただの頑固者だぜ。 でも、死なせるには惜しい頑固者だな。」
「わかったらさっさとあっちにいけよ!」
「オメェよぉ・・・。 もったいねぇよ!
オメェは・・・コウちゃんは、この川が好きなんだろ? ずっとキレイな景色を守っていきたいんだろ?
でも、コウちゃんが死んじまったら、誰も語り継げねぇじゃねぇか。
俺たちに、これからもキレイな景色の思い出を語ってくれよ!」
「・・・ボクは・・・、キレイな川が好きなんだ。 きれいな川でみんなが遊んで、ニコニコしながらキレイな桜を見て、みんながこの川で思い出を作ってきた・・・。
なんでダメなんだ・・。何で川が汚れるんだ・・。
なんでボクがここから逃げなきゃいけないんだよぉ!!」
「・・・・コウちゃん・・・」
もへこの頬に大粒の涙が流れ落ちました。
「コウちゃんは悪くないよ・・・悪くない・・・。」
なぜだか、もへこは『ごめんね』と、何度も呟きました。
「コウちゃんよぉ。 みんながおめぇを必要としている。 みんなが、この川の思い出を大事にしてる。
オメェがここで死んじまって、喜ぶ奴なんて一人も居ねぇよ。
生きてほしいんだ。生きて、語り継いでほしい。
オメェの大好きな景色や川を、コウちゃんなりに守っていって欲しいんだ」
「ボクなりに・・守る・・・」
コウちゃんは、汚れた川に目を落として、ポツリと呟きました。