その日の夜、二人はいつになくグッタリとして、プッチの家にたどり着きました。
「今日は・・・密度濃かったわね・・・」
「夜までみっちりだったからね・・・」
「でも、明日までに『育てやすいお客様を集客するには、何ていえばいいか』を、見つけなきゃいけないなんて・・」
「キッつぅ~~~・・・」
「でも、やらなきゃしょうがないわよね。 絶対にこえてやるんだから!」
「そうだね。 でも、一体なにから考えればいいんだろう・・・」
「もう一度、整理しましょ?
『どんなお客様を集客すればいいのか?』っていう問題の答えは、なんだっけ」
「え~~~っと、・・・あれ? わからなくなってる!」
「・・実は、わたしもその辺がこんがらがってるのよ・・。いろんなことを詰め込みすぎて・・・。
『疲れている人』じゃなくって、『癒されたがっている人』っていうのは、わかってるんだけど」
「あと、『癒されたがっている人』がいたとしても、『癒されたがっていますか?』って、ニーズを直接聞いたり、
『癒されるためにはこうしましょう』って、直接アドバイスをすると、拒絶されるんだよね」
「そうだったわ。 王様の部分よね。 お客様は神様じゃない。王様だっていうやつ」
「あとは、漠然と『疲れている人ー』って叫んでも、振り向いてくれない。
かといって、『目の奥がどんよりと疲れている人ー』って叫んでも、相手にしてもらえない・・・」
「けれど、絞れば確実に振り向いてくれる人の数は増えるわ。その部分は間違っていないと思うのよ・・。
後は、『集客するためには、どうすればいいか』だけなのよね!」
「そうだよね。
『ワガママな王様』は、集客しちゃダメ。
でも、王様に直接アドバイスをしても、拒絶されるからダメ。
王様を、自分で行動するように育てなきゃいけない・・・」
「育てやすい王様、つまり育てやすいお客様を、どうやって見つけるのか・・。
どうやって振り向いてもらうのか・・よね」
ミケは、頬杖を突きながら、片方の手でペンをカタカタと振って考え込んでいます。
そして、テーブルに突っ伏して、グッタリと伸びてしまいました。
「そもそも、なんであたしたちこんなに悩んでるワケ・・・? 早く開業したいよぉ~・・・」
「そういえば、なんでウルフさんに相談したんだろう・・・。
ウルフさん、『おめぇたちが、オレに相談したきっかけは?』っていう話をしてなかった?」
「忘れたのぉ? ウルフさんにワライダケで殺されかけたのよ」
「それもそうだけど、僕らからお願いしたような・・・・」
「『個人サロンのことで悩んでるのか?』って、聞かれたからじゃない?
ちょうど悩んでいるときだったし、ワラにもすがる思いだったのよ、わたしたち」
「・・・あ! そうか! 聞かれたから、答えたんだ・・・・」。
ミケちゃん、『何か言われた』からじゃないよ、聞かれたからなんだよ!」
「どういうこと?」
「ウルフさんの質問に、またしても、まんまとハマったんだよ!
『何て言うか』じゃなくって、『何を聞くか』じゃない?」
「えぇ~~? 『疲れていませんか?』って聞くの?」
「ん~~~~~・・・それもおかしいかぁ・・・なんて聞けばいいんだろう・・・」
「むしろ、ワライダケを食べさせたらいいんじゃない?
おなかが痛くなるくらい笑わせておいて、痙攣したところをサロンに連れ込む!」
「・・・ミケちゃん、それじゃぁサギだよ・・」
「あら、『笑うかどには福来る』って言うじゃない。 ディズニーランドのキャラクターはみんな笑ってるわよ?」
「ディズニーランドって、何かのキーワードじゃなかったっけ・・・」
「あのミッキーとシンデレラのやつ?」
「そうそう。 それ。 ミッキーが笑わせておいて、シンデレラがあこがれられるっていうやつ・・・」
「それじゃない??! その・・・・・・」
ミケが、ガバっと起き上がって、叫んだかと思うと、プッチにペン先を向けながら、何かを考えて固まっています。
「ミ・・・ミケちゃん、どうし・・」
「あぁーーーーーーーー!!!! プッチ、わかった!!」
「な・・・なに何!?」
「ウルフさんのやり方、そのものに答えがあるのよ!!」
「え? どういうこと?」
「ウルフさんが怒鳴りだしたのって、途中からでしょ!?
最初は、『ゆっくり考えればいいんだ』とか、優しいこと言ってたじゃない!」
「確かにそうだけど・・・」
「でも今は、厳しいことを言ってくるじゃない!? それでもあたしたち、ついていってるもの!
あ・・・そうか・・・、ウルフさん、それで『おめぇたちがお客だったら、いいお客だ』って言ったんだ・・」
「つ・・・つまり、最初っから全部が、『集客方法』になってるっていうこと!?」
「そうよ! 今思い返してみると、全部そうだわ!
ワライダケのことは、偶然だったかもしれないけれど、『個人サロンのことで悩んでるのか?』って、質問した。
その質問ができるっていうことは、わたしたちの話・・つまり、ニーズを聞いていたって言うことだもん!」
「夢中になってけんかしている間に、僕らのニーズは聞かれていたんだ・・・」
「そして、悪いことしたお詫びに、経営の相談に乗ってくれるっていうのも、すごく自然な流れじゃない?」
「そうか・・・僕らには、自然に集客される理由があったんだ・・・」
「たとえば、『いつもお世話になっているお礼に』でもいいし、『アンケートに協力してもらったお返しに』でもいいし、なにか理由があれば、自然に話を聞いてもらえるじゃない!」
「ウルフさん・・・それを最初っからやってたんだ・・・」
「そして、課題よ! あれも、今考えると不自然だわ!
『協力する』とか、『教える』って言ったのに、課題を出してるもん・・。
でもわたしたちは、課題に答えようとするあまり、ウルフさんのやり方にのめりこんでいった・・・・」
「そうか・・・普通に考えたら、寝る時間を割いて考えるなんてありえないもんね・・・。
課題をクリアするために、僕らは夢中になっていったんだ・・・」
「そして、ウルフさん、毎回おやつを作ってくれてた・・・・。
松茸は違ったけれど、お茶とかお菓子にはほとんど砂糖が入ってた・・・。
頭を使うと糖分を消費することを、ウルフさんは知っているから・・・・」
「そ・・・そこまで繋がってるの!? 偶然じゃない!?」
「ナナコさんのこともよ!
だってわたし、ウルフさんのやり方についていけないと思ったとき、支えてくれたのがナナコさんだもん!
ウルフさんは言ったわ、『クチコミなんて、何ヶ月も何年も自分の姿勢を見てくれている人が、長い年月をかけてようやく少ししてくれると思っとけ!』って・・・・。
ウルフさんは、長い年月をかけて、ナナコさんみたいにクチコミしてくれる人を育ててるんだわ・・・」
「整合性・・・か・・・。
長い時間 継続しているから、こんなことができるんだ・・・。
ウルフさんの整合性・・・それって何だろう・・・」
「・・・今はわからないわ・・・・。
とにかく今は、『育てやすいお客様を集めるには、なんて言えばいいか』を、見つけるしかなさそうね。」
「そうだね・・・。 よし、がんばろう!」
「えぇ。集客のために・・・」
次の日の朝、プッチとミケはなにやら手荷物をもってウルフさんのところにやってきました。
「ウルフさん、おはようございます!」
プッチが元気よく挨拶をします。
「おぉ~、おはようさん。 今日は、こんなのを作ってみたぜ!」
といってウルフさんは、白い色のドロっとしたジュースを、冷蔵庫から出してきました。
「ウルフさん・・・これはなんですか?」
「イチジクジュースだ。 無農薬で取り立てだから新鮮だぜ!
イチジクとりんごを混ぜると、けっこうさっぱりして飲みやすいんだ」
それを聞いて、ミケが手荷物をガサゴソと出してきました。
「よかったぁ~、今日はお菓子じゃなくって。 実は、今日はお菓子を持ってきたんです。
いつもウルフさんにはお世話になっているので・・・。
桃のバウムクーヘンです! もっとも、作れないので、買ってきたものですが・・・」
「おぉ~~、マジか! サンキュゥ~♪ 桃のバウムクーヘンなんて初めてだなぁ・・・」
「この桃のシロップをかけると、もっと美味しいんですよ! オススメです♪」
3人は、イチジクジュースと桃のバウムクーヘンをテーブルに並べました。
「いっただきマース♪ おぉ、これうめぇな! シロップも濃くっていいぜ!」
ウルフさんは、桃のバウムクーヘンを気に入ったようです。
「よかったぁ~♪ あ、イチジクのジュースも美味しい! 意外とさっぱりしてるんですね」
「本当だね! 僕も、もっとドロっとしてるのかと思った。りんごとの相性がいいんですね!」
プッチも喜んでいるようです。
「さぁ、『育てやすいお客様を集客するためには、何を言うか』は、見つかったか?」
「はい。 僕らの答えは、『何も言わない』だと思います」
「何も言わない? どういうことだ?」
「えぇ、わたしたち、『何を言うか』を考えていたんですが、何を言っても『拒絶される』っていう反応しか想像できなかったんです。
でも、『話を聞く』っていう姿勢に気づいたとき、見えてきたんです」
「じゃぁ、『何か困っていませんか~?』 って聞くのか?」
「違います。 『話を聞く体制』に、いかに早くもって行くか・・・なんだと思います」
「なるほど・・。プッチはどうだ?」
「僕もずっと、『どうやって集客するか』とか、
『どうやって育てやすいお客様を見つけるか』だと思っていたんです。
でも、集客されたがっているかどうか・・・、そして、育てやすいお客様かどうかなんて、
お客様に聞いてみなくちゃわからない っていうことに気づいたんです」
「ウルフさんは、競合分析のときに、こう言いました。
『全部見ろ! 最初から見るところを決めちまったら、そこしか見れねぇじゃねぇか!』って。
もちろん、お客様のターゲットは絞り込む必要があると思います。
振り向いてくださる確率を上げることを考えることは、重要だと思います。
けれど、その次には、『お客様とコミュニケーションをとる場を、どう作るか』が、重要になると思うんです」
「僕らは、まだどこかで、『出来上がったお客様』を集客しようと思っていたんだと思います。
『お客様を育てる』っていう意味が、よくわかっていなかった・・・・」
「なるほどな。 じゃぁ、今はわかったのか? プッチ、どうだ?」
「『わかった』・・・かどうかは、わかりません・・・。
でも、昨日『育てる』っていうことを考えていく中で『育てやすいお客さま』っていう表現に違和感があったんです。上から目線というか・・。
それについてミケちゃんと話していたときに、学校の話になったんです」
「学校の?」
「はい・・・。 高校には、入学試験がありますよね。だから、ある程度の学力は絞られて、入学生が入ってくると思うんです。
でも、卒業するときには、どうなっているかわかりません。その中で、育っていく人もいれば、落ちこぼれていく人もいる。辞めちゃう人もいる。
けれど、学校側はずっと、育てていく体制を作っている。
『育てやすい生徒』という人は、もしかしたらいるのかもしれないけれど、どんな生徒にも一生懸命に向き合って、一緒に育つという環境を作ってる気がして。」
「個人サロンも、同じじゃないかって、プッチと話してたんです。
サロンは学校じゃないし、セラピストは先生じゃないけれど、間口を絞った上で少し広めに集客をし、
その後、コミュニケーションをとって、育てていく・・・『はぐくむ』っていう表現の方が近いのかもしれない・・。
つまり、わたしたちは楽をしちゃいけないんだと思うんです。
最初から完璧なお客様を集客しようと思うと、立ち止まってしまいます。
ですから、絞るんだけれども、間口を広げて、来てくださった方に『何が必要かを聞く』という姿勢が、
個人サロンの経営には必要なんじゃないかって、昨日プッチと話してたんです」
「これって、きっと、すごく当たり前のことだと思うんです・・・。
でも僕らは、ぐるぅ~~~っと1周してここにたどり着かないと、このことは見えなかったと思います」
「そうだな・・・。
『ターゲットを絞るんだけれど、そればかりに目を奪われると、誰も集客できない』・・・・。
言葉にしちまえば、たったこんだけだ。どこの経営書にも書いてある。
でも、オレは、これを見失って途方にくれるセラピスト難民を、たくさん見てきたんだ。
わかっているけれど、わかっていないっていうセラピストをよ」
「ウルフさん・・・僕、一番最初に言った言葉を取り消します・・・。『集客には自信がある』って言ったけど。
僕はまだ、集客に自信なんて持っちゃいけないんだって、思いました・・・。
それに、僕が勤めていたのは大手サロン。
大手サロンなら、ウルフさんが言っていたように、ワガママな王様の相手ができる。
でも、個人サロンの運営には、大手サロンとは違った、個人サロンのルールがあるんですね」
「わたしもだわ。 『技術には自信がある』って思っていた。
でも、ナナコさんも言っていたように、『技術が上手なのは当たり前』なんだと思いました。
一人一人のお客様に喜んでもらえば、経営はうまくいくと思っていた・・・。
もちろんそれもとっても大切なことだと思うけれど、でもそれ以上に大切なことは、利益を上げること。
利益は、『りんごの箱からこぼれたりんごを売る』っていう考え方。
つまり、自分は当たり前の上に、どんな付加価値を乗せることができるかなんだって、気づきました」
「よし。 それが見えてきたら、もう大丈夫だ。
これで、『思考のねじれ』がわかったよな。 否定的なことを言っちゃぁ、思考がねじれちまう。
どんな時でも、できるだけポジティブに考えるんだ。
そして、『木の整合性』がわかったよな。 木は、根っこや幹や枝や葉っぱ、そして周りの環境の整合性の上に成り立っている。 一つだけにとらわれるんじゃなくって、今、全部がどうなっているのかを考えなきゃいけねぇ。
枝葉にとらわれすぎると、根本的な部分が見えなくなっちまう。
そして、『目的地と行き方の関連性』がわかったよな。 行き方は、目的地を決めねぇと決めることができねぇ。
それだけじゃねぇ。 行く目的や、到着時間の目標との関連性で決まってくるんだ。
自分のサロンは、何のために、いくらの売上目標で運営していくのか、そしてそれを実現するために、どんな手段を使わなければいけないのかを考えることが重要なんだ。
そして、『目的と目標』の違いがわかったよな。 目的は人のため、目標は自分のためだ。
これを作ったら、その後の全てのことは、それを実現するために考えなきゃいけねぇ。目的と目標を達成するため以外の行動は、遠回りになっちまうんだ。
そして、『情報の海の中の灯台』がわかったよな。 競合分析のときは、見るポイントを決めちゃいけねぇ。
全部を見るんだ。 そして、そこから見つけなきゃいけないポイントはたった一つ。
『なぜ、そのサロンは利益を上げているか』だ。
そして、『受け取り価値』がわかったよな。 基本的なことをきちんと行うのは、当たり前なんだ。技術がいいのもあたりまえ、一人一人のお客様を大事にするのもあたりまえだ。
もっと大切なことは、基本的なことの上に、どんな価値を乗せることができるか、なんだ。
そして、『ミッキーマウスとシンデレラの役割の違い』がわかったよな。 ついつい、自分がいかにすごいかのシンデレラを前面に出しちまうが、それは違う。 強みは後からだ。
まずは、基本的なおもてなしの姿勢。 基本的な喜ばせる姿勢を、忠実にやっていくんだ。自分がいかにすごいかなんてのは、お客様の前では関係ねぇ。それは、お客様があとから自分で感じることなんだ。
この姿勢をきちんと徹底的に守っていけば、その姿勢は『強み』になる。
そして、『コンセプト』がわかったよな。 『誰に、何をして、喜んでいただくか』だ。このときに、叫んでみて誰もふりむかねぇようなコンセプトを作っちゃいけねぇんだ。 叫んだら、何人かが自分のことだと思って振り向いてくれるぐれぇまで絞りこまねぇと、チラシを配っても、ホームページを作っても同じだ。
もちろん、叫んだって反応してくれねぇのは後で出てきたけれど、コンセプトの段階では、まずは『叫んでみて、自分のことだと思って振り向く人がどれくらいいるか』が、一つのバロメーターだ。
いいか、当てはまる人の人数じゃなく、集客できる人数から目を離しちゃだめだ!
そして、『徹底した強み』がわかったよな。 コンセプトを作ると、おそらく他のサロンと方向性がかぶってくる。間口が広いのがコンセプトだからな。 でも、それをどこまで徹底的にやれるのかが、強みなんだ。
『アロマで癒しを提供する』って考えたなら、それをどこまで徹底できるかだ。入り口から出口まで、お客様が帰ってからも。
ナナコのサロンは、『お客様への安心感』がコンセプトになっているから、それはお客様が帰った後でも徹底的に実行される。 それが強みだ。
そして、『お客様は神様じゃなく、王様』っていうことがわかったよな。 ワガママな王様を相手にしちまうと、個人サロンはすぐに潰れちまう。 かといって、王様に不用意にアドバイスなんかしたら拒絶されちまう。
個人サロンでは、『自分で行動する王様』に、育てる必要があるんだ。
そして最後に、おめぇたちがさっき気づいたことだ。 『完璧なお客様を集客しようとしない』っていうことだ。
ターゲットは、絞らなきゃいけねぇけど、絞りすぎると誰も来なくなる。楽をしようと思っちゃダメだ。
もしかしたら、ワガママな王様がやってくるかもしれねぇ。やりづれぇ人がくるかもしれねぇ。
でも、まずはある程度絞った中から、間口を広く人を集めて、その後で優良顧客に育てていくんだ。
お客様を育てるときに重要なことは、聞く姿勢だ。 いかに早く、お客様が自分のニーズを語ってくれるようにするかが重要だ。
ここまでが、オレがこれまで伝えた内容だ。『個人サロンができるまでに考えなきゃいけねぇこと』だ。
もちろん、経費のことや、物件のこと、キャンペーンのこと、集客プランのこと・・・考えることはまだまだいくらでもある。
けれど、どれを考えるにしても、この考え方が軸になってくるはずだ」
プッチとミケは、これまでウルフさんが話した1つ1つのことを思い出していました。
「僕はこれまで、個人サロンの経営を、表面的にしか理解していなかったんだと思います・・。
こうなったらいいな・・・とか、他の人がこうしてるから・・・とか。
でも、その土台となる『考え方』を作らないと、どんな個人サロンを立てても崩れちゃうって思いました・・」
「わたしは、『技術スタッフだから、技術だけしっかりしていればいい』って、心のどこかで思っていたけれど、個人サロンの経営はそれじゃぁダメなんですね。
関わる人、みんながオーナーの気持ちで、『技術だけじゃない、プラスアルファの価値』に向き合わないとって気づきました・・。
技術があるのは、当たり前。
お客様を大切にする姿勢も、当たり前。
けれど、個人サロンの経営に関わっていくなら、それだけじゃダメなんだわ・・・。
ナナコさんが言っていたように、『利益』を出すことが重要で、『利益』は、自分が生み出す付加価値によって作られるんだから」
「よし。 それじゃぁ、オレの話は、あと2つだ。
1つは、『メニューの作り方』つまり、サービス作りだ。
もう一つは、『集客ツールの作り方』つまり、集客プランだ。
この二つは、どちらかというとテクニック的な要素が強い部分だ。
だから、その話をする前に、話を整理した。 整理したところまでが『本質』だからな」
「え? ・・・それも教えてくれるんですか?」
「なんか、卒業式みたいな雰囲気だから、ここまでで終わるんだと思ってた・・・」
「ばっきゃろ。 ここで放り出したら、オレの整合性がとれねぇじゃねぇか」
ミケは一瞬、目を丸くして固まりました。
「ウルフさんの整合性・・・そうか、このことだったんだ・・・」
「ん? なんか言ったか?」
「いえ、なんでもないです。 さぁ、次へ進みましょう!」