ウルフさんの『個人サロンができるまで』

プッチとミケの会議 ⑤   ~顧客分析~

プッチの家に戻った二人は、まずはインターネットを見始めました。

「とりあえず、『深い疲れ』で検索してみよっか」
「そうね。 何かでてくるかもしれないしね」

「ん~~~~・・・ほとんど、サロン紹介だね・・・しかも、紹介文の中の単語を拾っているから、これをキーワードにしているサロンって、あんまり無いみたいだね」
「っていうことは、これをキーワードにすればどんどん反応が得られるって言うことじゃない?」

「いや、SEO的にはオススメできないな。
これをキーワードにしているサロンが少ないっていうことは、『このキーワードでほとんど誰も検索しない』っていうことでもあるからね・・・」
「そっかぁ・・・、疲れている人って、わざわざ『疲れている』なんて検索しないもんね・・」

「ん~~~~・・・疲れている人の行動パターンって、どんなんだろう?
ミケちゃんが疲れているときって、どんなキーワードで検索する?」
「しないわ。 疲れてるときは、ぐったりと何もせずに寝てるもん」
「そうだよね・・・
あ~~~~~~、じゃぁ、どうやって『深い疲れを持った人』なんて探せばいいんだろう!!」

「・・・ねぇプッチ。 このウルフさんの課題、2つの問題になってるのね・・・」
「2つの問題?」
「『深く疲れている人』のニーズを知るためには、まず『深く疲れている人』を探さなきゃいけない・・」
「2重扉か! クセモノ! であえぇ~~~!」
「おのれぇ~~オオカミ! はかったなぁ!」
プッチが槍で突き刺すフリをし、ミケが忍者のようによけるフリをします。

プッチとミケが、混乱のあまりバカな時代劇遊びを始めると、ミケの携帯電話が鳴りました。

「はい、ミケです。 あぁ~~、ナナコさん!?」
さっきまでとはまったく違う声のトーンで、明るく電話に出ると、ナナコさんからの電話でした。

「えぇ・・・えぇ・・・ そうなんですよぉ~~。
今? 今は、『深く疲れている人』ってどこにいるんだろうなぁ~って、考えていたところなんです・・」
ミケはすかさずナナコさんに助け舟を求めました。

「えぇ!!? ・・・・はい・・・、確かに。 はい・・・。 ありがとうございます」
ミケは、電話を切ると、『オーマイガッ』とでも言わんばかりに、プッチに向かって肩をすくめました。

「ナナコさん・・・なんて?」

「『深く疲れている人』なんて、いないんじゃないかしらって。
『深く癒されたがっている人はいてもね』・・・って」
「か・・・・回転扉か!」
「おのれぇ~~ オオカミ! たばかったなぁ!」

プッチが手裏剣を飛ばすフリをし、ミケが忍者刀ではじき返すフリをします。

「・・・プッチ・・・やめましょ?」
ミケが青いため息をつきました。
「・・・そうだね。 さ・・続き続き・・・」

「ねぇ、深く疲れている人と、深く癒されたがっている人って、どう違うんだろう・・」
「なんか、表裏みたいな気がするけどね・・・
でも、実際に深く疲れている人はいるもんねぇ。 『いない』っていうことはないんじゃない?」
「わたしもそう思うのよね・・・。疲れている人を探すほうが早い気がするのに・・・」

「そうか! ウルフさんが怒鳴っていたことを思い出した!
『当てはまる人の人数と、集客できる人数は、比例しない』んだった!」
「あ! そっか! わたしがブチキれた時だ!
ウルフさん確か、『今考えなきゃいけないのは、サロンに集客する人だ』って言ってたわ!」
「サロンに集客するなら・・・っていう、言葉が抜けてるんだね!

サロンに集客するなら、『深く疲れている人』なんて来ない。
『深く癒されたがっている人』は来ても・・・っていうことだ!」

「じゃぁ、『こんな人が多い』っていうケースを、反対にしてみればいいのね!
たとえば・・・『とっても太ってる人』は、いっぱいいる!」
「ということは・・・『どうしても痩せたい人』も、いっぱいいる!」

「たとえば・・・『肩こりがひどくて、頭痛までしている人』は、いっぱいいる!」
「ということは・・『肩こりを楽にして、頭をすっきりさせたい人』も、いっぱいいる!」

「たとえば・・・『お肌の老化を気にしている人』は、いっぱいいる!」
「ということは・・『お肌をぷるぷるに若返らせたい人』も、いっぱいいる!」

プッチとミケは、歌うように交互に並べあげました。

「そっか! プッチ! 『どんな人』なのかじゃなくって、『本当はどうなりたいのか』を見れば、
その人のニーズは見えてくるわ!」

「よぉ~~し、そうとわかれば、『深く癒されたがっている人』を掘り下げていこう!」