ウルフさんの『個人サロンができるまで』

~ ナナコさんの息抜きルーム 『かおらっくす』 ~

「ナナコさぁ~~~ん、聞いてくださいよぉ~~~!!」

『かおらっくす』にフェイシャルエステを受けに来たミケは、さっそくナナコさんに泣きつきました。
「はいは~い。ぜ~~んぜん聴いてるわよぉ。でも、泡が目に入るから、目は開けないでね~♪」

「ウルフさんがぁ~~~~! わたしのことをイヂメっるんです!!」
「あらぁ~、そうなの?」
「『おめぇ何て虫けらだ!』とか、『ディズニーランドのミッキーマウスのかぶりものをかぶれ!』とか、
『おめぇらの命はオレが預かってる!』とかぁ~~~~!」

ミケは、あること無いこと、ナナコさんにぶちまけました。
数日間のストレスがよほど溜まっていたようです。

「あらあら、そうなのぉ~。それはぜ~~んぜん駄目よねぇ」
「ナナコさんの時はどうだったんですかぁ? ウルフさん・・・」
「わたしの時も、ひどかったわよぉ~?
『この課題を2日で答えられなかったら、おめぇなんてセラピストの資格はねぇ!』とかね、
そりゃぁひどい言われようだったわ。この人、何様!? って思ったわ(笑)」

「そうですよねぇ!! でも、途中で逆切れしなかったんですか?」
「そうねぇ・・・。何度かしかけたことはあるわね・・・。
でもあの人、そういう時だけはぜ~~んぜん人の話を聴くじゃない? 怒りがいつのまにか収まっちゃって(笑)」

「ペテン師のやりかたですよねぇ~」

「確かに、胡散臭い部分はあるわよね(笑)
でも、言うことは正しかったわ。 それは、わたしのサロンの売り上げが証明してる。

経営って、利益を出すことが全てじゃないけれど、それが無いと全てが無いのよね・・・
あの人は、それを良くわかっていたみたい。
厳しいこともいっぱい言われたし、ウルフさんが昼寝している間にひげを結んだりいたずらもしたけれど、
今は感謝してる・・・かな。
だって、結果が証明したんだもの。 結果は嘘をつかないわ」

「そっかぁ・・・・。わたしのサロンも、ナナコさんのようになるかなぁ・・・」
「ぜ~~んぜん大丈夫よ。 ミケちゃんなら。
だって、さっき言ってるウルフさんの愚痴が、わたしがあの時思ったこととおんなじだから(笑)」

そうして笑いながら、ミケの心は少しだけほぐれていきました。
明日からは、いよいよサロンの戦略です。ミケは、もう少しだけ、ウルフさんのことを信じてみようと思いました。