ウルフさんの『リピートを生み出すクロージング』

7.声かけの4つのパターン

「声かけのパターンなんて、そう多くねぇんだ。基本は4行でできる」
「たった4行ですか?」

「あぁ、基本はな。 その流れに沿って、色々と応用していけばいい。
4行ってぇのは、

『あの・・・』
『実は・・・』
『でも・・・』
『そこで・・』

の、4行だ」

「え~と・・・どういうことでしょうか?」

「一番極端な例を言うぜ?

『あの、ちょっとよろしいでしょうか』
『実は、女性を対象としたアンケートをとっていまして』
『でも、きっとお時間あまり無いですよね』
『そこで、たった2分で終わりますので、お付き合いいただけますか?』

これで、クロージングだ」

「えぇ~~~~!? たったそれだけ!?」

「まぁ、極端な話な。 要は、『起承転結』っていうことだ。 この『転』の部分がポイントだぜ?」
「『お時間あまりないですよね』のところですね?」

「あぁ、相手のニーズや不安を言い当てているって言う部分がポイントだ。
相手のニーズを言い当てるためには、『起承』の部分でニーズを把握していなけりゃダメだ。

もっとわかりやすく言うと、エステとかの例だとこんな感じだ。
お客さんからお問い合わせの電話が入ったとする・・・

『こんにちは、お問い合わせありがとうございます。エステは初めてでいらっしゃいますか?』
『そうなんですね。実ははじめてのお客様にはキャンペーンを行っていて、すっごくお得なんです』
『でも、こういったキャッチコピーって最近すごく多いですよね(笑)
何かこれまでも他のエステにお問い合わせされたことありますか?
そうでしたか・・それは大変でしたね・・。そういった被害って本当に多いですもんね・・・』
『そこで、私たちのサロンは無料のスキンケア説明会を開いています。
合同で行うので変な勧誘のしようがありませんしね。
まずはそちらにご参加されてはいかがですか?』

とか、こんな感じだな」

「ウルフさんが、おねぇ言葉に・・・」
「一瞬声が裏返っていましたね・・」

「うるせぇな、そんなとこにイチイチ突っ込むな!」

「そう考えると、テレビショッピングとかも一緒ですね・・。

『さぁ、今日はお待ちかねのハイビジョンテレビのご紹介です。夏休みは家族で映画鑑賞なんていいですねぇ』
『実は、こんなに表現力が違うんです。映画なんかだとすごくハッキリ差がでますよね』
『でも、気になるのはお値段ですよね。私たち、メーカーと独自契約をして頑張らせて頂きました!』
『なんと、ハイビジョンテレビに、このテレビ台と映画の為のハイビジョンDVDプレーヤーもつけて、
こちらのお値段でご奉仕させて頂きます!』

・ってね」
ロビンスが、テレビショッピング口調で言いました。

「おめぇ、そんだけできれば十分じゃねぇか。
その勢いで、もう一回チャレンジしてこれば、ぜってぇ大丈夫だぜ!」

「はい、がんばってきます!」

ロビンスともへこは、もう一度キャンプファイヤーのほうに向かっていきました。

「あの、キャンプファイヤー中に少しよろしいですか?」
「はい?」
「実は、今日のお祭りでお疲れの方を対象に、マッサージをご提供しているんです」
「はぁ・・・」
「でも、いきなりそんなこといわれてもビックリしちゃいますよね。
『何言ってんだ、この人?』っていう表情しましたもんね(笑)」
「アハハ、よくわかりましたね。 ビックリしました」
「ビックリは十分に承知しているので、もしよかったら1分だけマッサージさせてもらえます?
それで気に入っていただけなかったらお代は要りませんから!」
「そうねぇ・・。確かに疲れちゃったし、じゃぁ1分間試してみようかしら・・」
「はい! きっと延長したくなるようにがんばります!
でも、嫌な時はきっぱりと言って下さいね」

ロビンスは順調にお客さまを獲得していきました。

「こんばんは。キャンプファイヤー素敵ですねぇ」
「こんばんは。本当ねぇ、これを見ないと夏は終われないわねぇ」
「今回のお祭りはどうでした? 実は友達が出店してて、自分まで実行委員みたいな気持ちになっちゃって」
「そうね。今回は屋台も多かったし、見るところも一杯あって楽しかったわ」
「でも、その分疲れちゃったりしませんか? 大丈夫でした?」
「そりゃぁもう、疲れたわねぇ~。歩き詰めだったしねぇ」
「でしたら、フットトリートメントはいかがです?
今日の疲れは今日のうちに取っておいたほうが、明日からの疲労感が全然違いますよ?」
「そうねぇ・・でも、こんな時間からフットトリートメントが受けられるところなんて・・」
「実はあるんです♪ 私、アロマセラピーサロンを開いていて、トリートメントをしてるんですよ。
今日は出張サロンをしています。 お祭り価格で5分間から提供していますよ」
「あら、実は営業だったのね? お上手ね。 じゃぁ、5分間だけお願いするわ」

もへこもちゃっかりお客様を獲得していきました。

二人とも、お客様の気持ちに寄り添って、起承転結を活用してシンプルにクロージングする方法をどんどんと身に付けていきました。
結果、キャンプファイヤーが終わるころにはマッサージやトリートメント自体が口コミで広がって、こちらも大盛況となりました。

もっとも、途中からお客様の人数を数えられないくらい忙しくなって、ゲームの勝敗はつきませんでしたが・・。

ロビンスともへこは、へとへとになりながらも充実感を感じながらお祭りを終えることができました。

ロビンスのお店の売上と、最後のトリートメントの売上で、3人でちょっとした打ち上げをして、それぞれ帰っていきました。