『ウルフさんの リピートを生み出すクロージングセミナー』をお読みいただき、ありがとうございました。
この『啓発型』のクロージングは、僕がこだわってきたクロージングの方法です。
僕が、この方法を意識し、確立するにいたった経緯を、最初にお話します。
このエピソードは、今回の作品の中に出てくる『クロージングゲーム』に大きな影響を及ぼしています。
僕が癒し業界に入ったのは、大手のリフレクソロジースクールがきっかけでした。
3ヶ月コースを受講し、パウダーを使った足裏のトリートメントを勉強していました。
しかし、週に2回の練習の場でしか、なかなか足を触って練習するという機会がなかったのです。
もっと多くの人の足に触れたいなぁと思っていた矢先のことです。
ある日の夕方、僕の住んでいる愛知県を、台風が襲いました。
そこで全面的に電車がストップし、名古屋駅に閉じ込められてしまったことがありました。
帰宅時間ということもあり、駅構内には続々と人が入ってきます。
しかし、電車が動いていない為、その場で座り込んで復旧を待つか、近くのホテルに泊まるしか方法はありませんでした。
夜の7時を過ぎた頃、駅構内は人で埋め尽くされました。
壁にもたれて眠る人、階段で座っている人・・・。
みんな疲れ果てていました。
特に、座り続けていると、足が痛くなってきたり、血が溜まってきたりします。
多くの人が、足をさすったりしていました。
それを見て、『これだ!』と思ったんです。
足が疲れている人がこんなにも沢山いる。だったら、この人たちに練習台になってもらう! って(笑)
そこで、閉店直後のリフレクソロジースクール直営サロンに飛び込み、
わざわざ閉まりかけていたシャッターを開けてもらい、施術用のパウダーを売ってもらいました。
その後、駅長室に行き、身分証明書とスクール受講証を見せ、『疲れている人の足をボランティアでほぐすので、座布団と椅子を貸して欲しい』と交渉しに行きました。駅長さんは快く貸してくださいました。
それから、パウダーと椅子とクッションと、スクール生だという身分証明書を持って、一人一人に声をかけて行ったのです。
『足疲れていませんか? よかったら足をほぐします』って。
当然、不審者扱いです。 きっと、僕でもそう思うと思います。
中には、『そうやって人を騙してると、バチがあたるよ?』というアドバイスまで頂きました。
1時間半で20人くらいに声をかけ、断られ続け、『このままでは誰の足も触れない』と思い、
アプローチの方法を変えました。
『こんばんは~。電車、大変ですねぇ~・・。どこから来たんですか?
それは大変でしたねぇ・・。
どれくらい待っています? うわぁ~、大変ですねぇ・・。
それだと、足とか痛いでしょ・・?
実は今、駅長さんに許可をもらって、ボランティアで足をほぐしているんですよ。
まだ勉強中ですけど、練習台になってくれませんか?』
と言って、スクールの受講生であることなどを話し、10分くらいのフットトリートメントをしました。
それから電車が復旧するまでの2時間くらいで、10人くらいのトリートメントを行いました。
一人10分を目安としていたので、移動時間を含めると、殆ど時間をかけずにクロージングをしていた計算になります。
もちろん、これはボランティアの話です。
ですから、厳密には『クロージング』とは言わないかもしれません。
また、お察しの通り、上記のクロージングは『提案型』のクロージングです。
でも、 『例えボランティアだとしても、相手のニーズに合わないことは断られる』ということを、
痛いほど僕に教えてくれる経験となりました。
おそらく、この事件から僕は、
『啓発型』のクロージングを意識しはじめたんだと思います。
『お客様に感謝されながら営業ができる方法はないのか・・?』 と、考えるきっかけとなりました。
それから、直営サロンで営業と集客のリーダーを任せていただき、
退職後の自宅サロンでも、啓発型クロージングを意識して活動をしました。
そんな、生身の経緯から、自分なりに体系だてたクロージングの方法が、
少しでも皆様のお役に立てればと思い、今回、僕自身の『クロージングセミナー』と並行して、
『ウルフさんの リピートを生み出すクロージングセミナー』の執筆を行いました。
この作品は、現実のセミナーとリンクをした作品となっています。
僕のセミナーにご参加いただけた方には2倍の楽しみがあり、
参加されていない方も十分に理解していただけるように、わかりやすさを意識して執筆を行いました。
少しでもあなたの店舗運営に役立つことができれば嬉しく思います。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
今後とも、よろしくお願いいたします。
2008年7月
著:みずの
【本作品の執筆の参考となった書籍】 ~これらの書籍や資料がこの世に生まれたことに感謝をします~
【本作品に影響を及ぼしたセミナー】
・ブライアン・マーティン氏 (IAS 会長 兼 最高経営責任者)
:米国の多国籍企業リーバイ・ストラウス社の日本支社長を経て、アジア地域総責任者に。
その後ドイツの多国籍企業、トリンプ・インターナショナルの日本支社長。
ニュージーランド経営協会会員。1998年、インターナショナルWho’s Whoのプロフェッショナル部門の名誉メンバーに選出。
2001年、21世紀アチーブメント賞受賞。
ニュージーランド・オークランドのマッセイ大学で経営とリーダーシップについての講座も持つ。